年夜飯の乾杯のあいだ、物置の灯が消える
【架空の成人小説。登場人物は全員25歳以上の成人】
年越しの乾杯が、木のドアの向こうから届いた。一緒に物置へ入った人は、この家の誰でもない。
この家は僕のものでも、彼女のものでもない。彼女は主人の同僚で、三十四歳。僕は向かいの隣人で、二十八歳。今夜、同じテーブルに紹介されたばかりだ。血縁はない。姻戚もない。主人は彼女の同僚であり僕の友人であって、親族ではない。
物置の灯を一度消し、すぐ一番暗い段に戻した。真っ暗だと、頷きが見えない。廊下には一条を残す。外ではまだコップが当たっている。
家の人だと思うなら、今すぐ出て料理を取りに戻る、と彼女は言った。
僕は向かいの隣人だ。家の人だとは思っていない。
頷いた。酒は居間にあって、ここにはない。半分だけ飲んで、あとは茶だ。しらふ。あなたは?
しらふだ。半分はもう前の話だ。あの半分に頼ってここに来たのではない。
じゃあ聞く。この暗い部屋に残りたい? 年越しだからでも、ドアが少し開いていたからでもない。望まないなら、料理を取りに戻る。罰はない。誰も追って聞かない。二人とも成人で、これは自分の意志で聞く。確か?
残りたい。にぎやかだからではない。望んでいるからだ。自分の意志だ。あなたが止まると言うか、僕が止まると言うか。言えば止まる。止まったらあのテーブルに戻る。箸はそのままだ。同意している。
いい。近づいていい? いい。キスしていい? いい。手は肩に置いていい? いい。ここで立っているだけ、と言うなら止まる? 止まる。
外で誰かが笑い、コップが一度当たった。顔を胸に埋め、息が襟に落ちる。声はこのドアの中に残す。外は乾杯で、僕たちの観客ではない。
そのあとは、一番暗い段の灯に残した。声は木のドアの外に出さない。止めるときは彼女が先に言う。僕も止まる。襟を直し、出て、客に茶を注ぎ続ける。僕は暗がりに少し立ってから、自分の箸がまだテーブルにあると思い出した。
席に戻ると、彼女は僕を見ない。主人が料理を一箸取り、隣人が来るのは珍しい、と言った。礼を言った。彼女はテーブルの向こうで、ほかの人に茶を足している。普通の同僚のように。指輪は指にない。もともと着けていない。僕の指にもない。場を丸くするために紹介された親族ではない。
食後のベランダは冷えた。上着を取りに出た彼女が僕を見て、先に聞いた。後悔する?
しない。後悔する人は、さっきの返事を灯の下に残したりしない。
このドアの中では、もう一度しないで。ここは他人の家。まだ望むなら、七日の夜以降、街角のカフェで。会う前に句点を一つ送る。あなたも一つ返す。返さなければ、物置の灯は一度消えただけにする。
わかった。二十八歳と三十四歳。親族ではない。これから親族のふりもしない。
頷き、上着を着て居間に戻った。灯は一番暗い段のまま。出るとき僕が消した。主人が消し忘れたと思わないように。物置は物置に戻る。米袋は元の場所だ。
元日は自分の家にいた。向かいの声は短く、コップを片づけるようだった。近づかない。二十八歳だ。余分な一文が、これを要求に変える。彼女が欲しいのは句点で、他人の年越しに芝居を足すことではない。
三日、句点を鳴るもののように待ちかけた。カフェまでの道を一度歩き、入らなかった。入ると、自分で約束を変えたことになる。約束は、地名を待つように点を待つことだ。点は彼女が先に送る。
七日の夜九時、句点が一つ来た。一つ返した。カフェの灯は明るい。座る前に彼女が言う。まだ望んでいる。あなたは? 親族ではないまま。嫌だと言っていい。
まだ望んでいる。嫌だと言える。言わない。
三つをもう一度聞いた。座りたい? 店が閉まるまで残ってほしい? 止まると言えば止まる?
一つずつ、いい、と答えた。
店にはほかの客がいた。座って話すだけ、声は普通の大きさだ。明るい場所でも聞く。暗い場所だけが数に入るのは違う、と言った。聞いている。手はテーブルの上に置いて、ほかへは行かない? いい。少しして、十分、と言った。十分の場所で止まった。灯は消えない。閉店前に、今夜はここまで、と言った。わかった。ここまで。
街角で別れた。どちらの家にもついていかない。彼女は三十四歳、僕は二十八歳。主人は友人、同僚は同僚、隣人は隣人。この三つは、どれも親族にならない。次の句点が来るなら、そのときまた答える。それまで、物置の灯を誰かに見せて消す必要はない。
自分の階に戻り、マットの上に少し立った。向かいの靴は揃っていて、主人のもので、彼女のものではない。彼女はここに住んでいない。その事実を、元の場所に戻した。二十八歳で二年住んで、一回の年越しで呼び方は変えない。
八日の昼は普通に用を足した。通知を消して、また戻した。点を逃すのが怖く、画面を何度も灯すのも怖かった。主人の家へ、二度目の礼には行かない。二度目の礼は、通り道を借りることに似る。彼女が欲しいのはカフェの灯で、物置の暗さではない。
夕方、呼び名のない短い文が来た。まだ二人の成人として会いたいなら、親族なしで、年越しなしで、そう言って。望まないなら返さないで。返さなければ、ここで終わり。
長く読んで返した。二十八歳。三十四歳。親族はない。会いたい。行かなくてもいい。
同じカフェの名が来た。ドアの前でもう一度聞く。嫌だと言っていい。
着くと、彼女はすでに窓側で、コートを着たままだ。年齢をもう一度、事実を確かめるように言った。三十四歳。あなたは二十八歳。主人は私の同僚で、あなたの友人。私たちの上に立つ人ではなく、二人を手配した人でもない。あなたに命令できる役職は、私にはない。条件でも交換でもなく、入る。
知っている。望んでいるから、ここにいる。
座りたい? いい。閉店まで残ってほしい? いい。止まると言えば止まる? いい。
それからコートを脱いだ。灯は落とさない。暗すぎると頷きが見えない。暗い場所ではもう聞いた。今度は明るい場所で聞く。
水はぬるく、酒ではない。飲んでいない、と彼女は言った。僕も飲んでいない。しらふだ。
閉店前、彼女が先に止まる、と言った。僕も止まった。前回と同じ街角で別れた。どちらのドアにもついていかない。三十四歳と二十八歳。物置の灯は消え、そのあとも消したままだ。カフェの灯は、まだ聞かなければならない次の夜のために残る。
振り返らなかった。振り返ると、通りが追いかけることに変わる。追いかけることは、望むではない。街灯は一つずつ点いた。物置の一番暗い段とは違う明るさだ。それを背にして歩いた。
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