ウェディングドレスを着たまま「これからあなたのもの」

架空。白が腰にたまる。泣きながら笑って、手を腹へ。彼女が自分で言う。まだ回して。

ストーリーノート:ドレスは着たまま、カメラは彼女の手に

アヤは二十九歳、ノアは三十一歳。同じ日に式を終えた大人二人だ。ドレスはまだ半分着ていて、白い布が腰に積もっているのは、彼女が自分の手を止めたからだ。これからあなたのもの、と言う相手はノアで、二人の外の誰かではない。泣きながら笑うのは、この日が長かったからで、この一分を残したいからだ。まだ回して、と自分の口で言い、ドレッサーからカメラを取って、自分で回す。

カメラは最初、入室のときに二人で置いたドレッサーの上にあった。手に持ってから、彼女はノアに言う。撮られたくないときはカーテンへ向ける。その瞬間が止めの合図だ。ノアが彼女の手を自分の腹へ置く前に、したいかと聞く。彼女はしたいと言う。二人ともしらふだ。ケーキは隣室のままで、この一分を酒に渡さない。

二十秒、白い布が腰で止まり、彼女は彼がいいと言うまで見る。五十五秒、まだ回してと言うと、ノアがうなずく。一分二十秒、手が腹にあり、重すぎないかと聞く。彼はちょうどいい、こうしたいと言う。一分四十五秒、カメラを二秒だけカーテンへ向け、戻す。その二秒は止めていいかの確認だったと言う。今は終わりを二人の上に残したい。二分が来たら、彼女が終える。

カメラをドレッサーの脇へ戻したあと、アヤはカーテンを指一本ぶん開け、白いドレスをもう一分残すかと聞く。ノアは残したい、ただし二分が終われば止めていいと言う。ケーキは隣室のままで、二人はしらふ、この一分を酒に渡さない。あなたのものという言葉は彼にだけ向けた。カットは約二分のまま。式のあとの夜全体を、カードの長い時間では組まない。

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