契約最終日、名札と部屋番号を渡す

【架空の成人小説。登場人物は全員25歳以上の成人】

五時にコンサル契約は終わり、ポケットのルームキーは、まだ彼女が口にしていない問いのままだった。

あなたは二十七歳、彼女は三十一歳だ。名札の名前は二か月で覚えた。この午後から、名札は日程を意味しない。夕食の前、四時四十分、小さな会議室で彼女は完了の書類に署名し、あなたの前へ滑らせた。あなたも自分の名を署名した。五時、ペンのキャップが閉まる。プロジェクトは終わった。今から私は、あなたの仕事を指揮しない、と彼女は言った。書類は鞄の中。このあとに言葉があっても、仕事の指示ではない。

打ち上げで彼女は一杯、あなたも一杯。空になってから、足さなかった。今夜何かが起きるとしても、酒のせいにはしない、と言った。しらふだ、とあなたは言った。私もしらふ、と彼女は言った。先に食事をしよう。ほかのことは食後に、あなたが決める。

あなたは食べた。部屋は騒がしく、彼女は椅子を寄せて、食事を答えにはしなかった。部屋が空くころ、廊下ではまだ誰かが笑っていた。その人たちの前では触れない。キーはポケットにある。ホテルのドアの前で、コートのボタンはまだ留まったまま、彼女は止まった。どちらも、まだ中に入っていない。

もう、あなたの仕事を指揮していない、と彼女は言った。契約は今日の午後に終わった。上がるなら、上がりたいからだ。上がりたくないなら、車まで送る。罰はない。取り戻せる書類もない。署名は済んでいる。署名済みの紙は、交換に使わない。

上がりたい、とあなたは言った。以前、進行を見ていたからではない。望んでいるからだ。

彼女は一度だけ聞いた。飾りはつけない。あなたは二十七歳で、彼女は三十一歳だ。二人とも成人だ。自分の意志?

自分の意志だ。同意している。

それからキーを使った。絨毯が足音を飲む。灯を、目がまだ見える暗さに落とし、窓際の椅子へ座って、と言った。座った。名札を外し、テーブルに落とす。音は小さい。すぐにはドアを離れない。

待って。先に、さっきの言葉を返して。契約は終わった。私はあなたの仕事を指揮していない。ここにいるのは、ここにいたいからだ。

契約は終わった。あなたは僕の仕事を指揮していない。ここにいるのは、ここにいたいからだ。二十七歳。あなたは三十一歳。残りたい。今でも帰していい。

残ってほしい。あなたが止まると言うか、私が止まると言うか。言えば止まる。止まっても、署名済みの書類には触れない。

わかった。

その椅子を離れていい? いい。歩み寄っていい? いい。手は肩に置いていい? いい。聞くたびに返事を待つ。返事のないことは、しない。

灯は消えない。窓の外の高架が点滅して、部屋は明るくならない。そのあとは、その明るさの中に残した。声は絨毯の向こうに出さない。止まる、と先に言った。その言葉が本当に効くか確かめたかった。彼女はすぐ止まり、半歩下がり、今は? と聞いた。ちゃんと止まれた。少ししてまだ望むなら、もう一度いい、と言う。

少しして、いい、と言った。じゃあ、いいと言った場所までだけ。

朝、名札はテーブルに残っていた。キーは彼女が持っていった。署名した、という一行が画面にある。一字も足さない。名札は鞄の内側に入れ、身にはつけない。つけたままでは、二か月がまだ続いているように見える。

その週、会わなかった。書類は、出す場所へ出した。出すとき、誰も彼女の名を出さない。あなたも出さない。二十七歳だ。署名の済んだ紙は、紙の仕事だけをすればいい。

その週の夜は、本が読める明るさに灯をつけ、本は読み終えない。会いたい部分と、二か月の段取りが、もう分かれたかを自分で確かめていた。分かれてから、会いたいは数に入る。八日目に確かめてから、返事を書いた。書くとき、「進行を見てくれてありがとう」は消した。その言葉は、夜を五時より前へ引き戻す。

八日目の夜、呼び名も、以前の口調もない文が来た。名札を間に置かず、二人の成人として会いたいなら、そう言って。望まないなら返さないで。返さなければ、ここで終わり。

長く読んで返した。二十七歳。三十一歳。名札はない。会いたい。家にいてもいい。住所を言ってから、出るかどうか決める。

打ち上げのあととは違うホテルの名が来た。階も違う。ドアの前でもう一度聞く。嫌だと言っていい。

着くと、彼女はすでにドアの横で、コートのボタンはまだ全部留めていた。年齢を、名前を確かめるようにもう一度言った。甘える言い方ではない。三十一歳。あなたは二十七歳。五時より前に私があなたに対してだったものは終わり、書類も署名済みだ。あなたに命令できる役職は、もうない。入るなら、条件でも交換でもなく、契約の締めを私が署名したからでもない。

知っている。望んでいるから入る。

入りたい? いい。残ってほしい? いい。止まると言えば止まる? いい。

それから開けた。灯は、相手の目が見える明るさにして、それより暗くしない。暗すぎると頷きが消える、と言った。

入る前に、今でも帰れる、とあなたは言った。帰れる、と彼女は言った。帰らなかった。あとの望むが、ドア枠に塞がれたものにならないように、その一文を残した。

先に座った。彼女の手は自分の膝の上だ。近づいていい? いい。キスしていい? いい。ここで止まる? まだ。少しして、止まる、と言った。彼女は止まった。傷にはしなかった。水を二つ淹れ、きれいに止まれるほうが、止まらないより信じられる、と言った。

水が終わると、まだ望んでいる、と言った。じゃあ聞き直す。三つを聞き、一つずついい、と答えてから、また近づいた。今度はもっと遅い。灯はついたまま。高架の点滅は窓の外で、二人とは関係がない。

終わるとき、名札はテーブルに落ちない。名札はあなたの家の引き出しにあって、この部屋にはない。襟を直し、プラスチックの姓ではなく、名前で呼んだ。明日、文がほしい? 一字でいい、とあなたは言った。いる、か、いない。いい、と彼女は言った。いないは、本当にいない。追いかけない。

あなたが先に降りた。通りまでは送らない。家で引き出しを一筋開け、名札はまだあり、プラスチックの縁が少し白く擦れていた。捨てないし、もうつけない。二か月の終わりであって、まだ返していない鍵ではない。

夜、一字が来た。いる。

いる、と返した。

送る前に、三つの意味をもう一度確かめた。望む。残る。止まると言えば止まる。止まることは、書類に触れない。あなたは二十七歳。彼女は三十一歳。プロジェクトのあとは、すでに署名した一枚だ。灯がまたつくなら、二人とも頷いたあとだけにつく。

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